来季は「二刀流」復活で注目度はさらに上昇か

 日本球界にとっては、スター選手が流出しただけではなく、国内市場も“浸食”を許す格好となっている。苦境は今後も続くとみられ、このオフには、22歳のロッテ・佐々木朗希投手のメジャー移籍の可能性が報じられるなど、日本のトップ選手のメジャー移籍までの期間は短くなる傾向にある。

 大谷選手や山本投手が所属するドジャースは来年以降もWSに進出できるだけの戦力を備え、来季も大谷選手が投手としても復帰すれば、「二刀流」再現で注目度は一段と高まるだろう。

 日本球界の対応は急務だ。メジャーの動向を注視し、日本シリーズの日程をWSとは重ならないように編成するなど、ビジネス的な見地からの防衛策は不可避だろう。もはやメジャーリーグは“海の向こう”の話題ではなくなった。

田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。