大リーグの市場規模は日本のプロ野球の7、8倍とも

 記事の中では、NPB幹部の「スポンサーを含めて、日本の野球界全体で日本一を決める試合を行っている裏に、わざわざワールドシリーズの番組をぶつけてくるのはおかしい」という発言を紹介している。フジテレビは同29日の日本シリーズ第3戦の中継局となっており、WSのダイジェスト版を放送した後に、日本シリーズを中継した。毎日新聞の取材に対しては、企業広報部が没収の有無も含めて回答を控えている。

 ビジネス的な観点でみれば、民放の放送時間帯に“市場原理”がはたらくのは当然で、高い視聴率が見込まれる夜のゴールデンタイムにダイジェスト版を放送するのは、視聴者のニーズがあるからである。

 日本のプロ野球界の現状は、決して人気が低迷しているわけではない。NPBが発表した今季のセ、パ両リーグのレギュラーシーズンの観客動員数は2658万6977人で、新型コロナウイルス禍を乗り越えて史上最多となった。

 ただ、メジャーとの比較になると、市場規模は開く一方だ。

 日本のプロ野球の市場規模に対し、メジャーは7、8倍の規模があると言われ、収益はさらに増え続けている。日米の経済力の違いや、莫大な放映権料を手にするメジャーの収益構造に加え、増益の要因となっているのがスポンサー収入だという。

 米ビジネス誌「Forbes」の日本版「フォーブス ジャパン」は10月25日、スポンサーシップのデータ分析会社「SponsorUnited」が今年10月に発表したレポートを紹介。この中で、メジャー全30球団の今年のスポンサー収入は前年比23%増の約19億ドル(約2900億円)に達し、2年前とべて5割以上も増えた。

 大谷選手のドジャース移籍で、日本の企業からのスポンサー契約も相次ぎ、今年のメジャー球場とのスポンサー契約数は35社で、2年前から約3倍に膨れ上がったという。SponsorUnitedの創設者兼CEOのボブ・リンチ氏によれば、ドジャースは大谷選手の加入後に約7500万ドル(約110億円)のスポンサー収入増を実現させたとし、大谷選手の年俸以上の恩恵を受けたことになる。