「公共交通にアクセスできない人がどれくらいいるか」も地図上に落とせる
グラフは、平均的な平日に、オーストリアの人口の何パーセントがどのランクに属しているかを、公共交通サービスの本数が増える学期中と、サービスが一部減少する夏休みなどの期間中についてそれぞれ、グラフで示したものである。
これを見れば、すでに水準の高いA~Dに住む約45%(学期中、以下同じ)の人口を対象にさらに力を入れるよりは、35%ほどの人口に該当するE~Gを底上げしたほうが、より効果がありそうなことがわかるし、15%の「ランク外」の人口に対しても手を打つ必要があることがわかる。
以下の図は、オーストリア全体で、A~Gのランクに属さない、つまり公共交通サービスにアクセスできない人口の割合を、市町村ごとに計算して可視化した例である。
15%の「ランク外」の人口が、国内のどのあたりに分布しているかがわかるようになる。
また、土地利用も地図上に表現できるデータの一つである。実際の土地利用でもよいし、日本では用途地域とよばれる土地利用規制でもよい。
市街化されているのに公共交通サービスの水準が低いところがある一方で、公共交通のサービス水準は高いのに、市街化調整区域のように市街化されていないところがあるのであれば、公共交通のネットワークを改変することでポテンシャルを高めることができる。
公共交通のサービス水準が高いところが、駐車場や資材置き場のような使われ方をしているのであれば、土地利用のありかたを考え直す必要があることがわかる。
また、学校や病院、行政機関などの重要施設(Point of Interestの頭文字からPOIと呼ばれる)で、公共交通のサービス水準が低いエリアのものがあれば、同様に公共交通のネットワークを改変することを考えるべきだとわかる。
あるいは、駅や停留所の配置を見直すという選択肢もあるだろう。逆に、こうした施設を新たに設置する場合は、公共交通のサービス水準が高い場所を選ぶとよい。