多くの人にとって不動産売買の経験は一生に一度かせいぜい二度までだろう。それだけに不安が尽きないのも当然だが、あれもこれもと知識ばかりを詰め込もうとしても限界がある。重要な情報を的確に絞り込んで把握し、失敗しないようにしたいところだが、そのためにはどうすればいいのか──。住宅ジャーナリストの山下和之氏がアドバイスする。(JBpress編集部)
>>【図表】不動産売却に当たって集めたい情報や、特に重宝した情報とは?
売却価格が5000万円なら手数料は「171万円超」もかかる
不動産の売却を行った人たちは、事前にどんな情報を集めているのだろうか。
インターネットリサーチのNEXERと不動産流通の日住サービスが共同で、不動産売却を経験したことのある人を対象に「不動産売却の情報収集に関するアンケート調査」を実施している。
それによると、【グラフ1】にあるように、売却に関する諸費用や手続き面などの項目が上位に挙がる傾向が見られる。「仲介手数料などについて」(53.5%)、「不動産売却の手続き」(52.4%)、「不動産の相場」(50.8%)、「売却時にかかる費用や税金」(50.4%)の4項目が50%以上で、以下は30%台以下になっている。
売却に当たっては、例えば仲介手数料だけでも「売買価格の3%+6万円+消費税」がかかる。売却価格が5000万円なら手数料は171万6000円になる。けっこう大きな負担だけに、気にする人が多いのも当然だろう。
売却前に集めた情報としては、諸費用や手続き面などの情報が上位に挙がる傾向が強いが、実際に集めた情報の中で、何が一番重宝したのかを聞くと、【グラフ2】にあるように「不動産の相場」が25.6%でトップになる。2位の「売却時にかかる費用や税金」の16.9%に10ポイント近く差をつけている。
また、売却を経験して、前もって調べておきたい情報は何だったかを聞くと、やはり「不動産の相場」が35.2%と1位。2位の「売却時にかかる費用や税金」は14.8%なので、ここでは20ポイント以上の差をつけてのトップだ。
実際に不動産の売却を経験した立場からすれば、諸費用や手続き面の重要性もさることながら、何より「不動産の相場」を正しく把握することが、売却に当たって損をしない不可欠な条件と考える人が多いようだ。
これは、何も売却時だけではなく、中古住宅の購入などにも共通する点だろう。相場の実態を正確に把握して、少しでも得することが極めて重要というわけだ。