- なぜ、企業は「売上目標」にとらわれるのか。計画には目標が必要だが、いまや売上目標が多くの企業で成長を妨げる弊害となっている。
- 売上目標は会社から与えられたもので、組織と従業員の思考能力を奪う。自己満足に陥りやすく、市場環境の変化への対応力も損なう。
- 連載2回目は、複合機などオフィスソリューションを手掛けるリコージャパンを取り上げる。顧客を主語にした「カスタマージャーニー」をいかに構築したか。
(*)本稿は『売上目標を捨てよう』(青嶋 稔、インターナショナル新書) の一部を抜粋・再編集したものです。
【連載:売上目標を捨てよう】
◎ソニーグループはなぜ、プレステ事業で「遊んだ回数」を重視するのか?販売目標で見失う事業の本質
◎リコージャパン、受注率を飛躍的に高めた「カスタマージャーニー」はどう作った?
◎日立製作所が進める「マスカスタマイゼーション」、特定顧客向けのソリューション事業から脱却した方法は?(11/7公開)
◎サントリーはどうやって安売り競争から抜け出した?小売りと組みAI・データ活用、生活提案型マーケティングへ(11/8公開)
営業本位のプロセスでは、顧客の立場にたった提案が難しくなっている。それを示しているのが、リコージャパンの取り組みだ。
リコージャパンは強い直販力を持ち、複合機をはじめとしたオフィスソリューションを展開してきた。しかしながら、3Dプリンターやテレビ会議システムなど、その扱い商材が広がるに伴い、営業担当者が顧客の総務や情報システムにアプローチする接点だけでは、販売が難しいということに直面した。
“営業依存のプロセスはいらない”とは、営業プロセスのみならず、顧客の立場に立ち、カスタマージャーニーを考え、どうしたらこれまでリーチできていなかった顧客にリーチできるのか、その方法を考えるということだ。どのようにすればより良い顧客体験を創造できるのかを考え、営業プロセスとカスタマージャーニーの考え方を組み合わせ、より幅広い顧客にリーチすることができた成功例として、同社の事例を紹介したい。