CX-5は近年中にフルモデルチェンジする可能性が高い
近年中にフルモデルチェンジによる3代目CX-5が登場する可能性は十分にあると思う。
なぜならば、マツダ関係者らとの直近での意見交換の中では、次世代CX-5の登場を完全に否定する声をあまり聞かないからだ。
仮にそうなると、アメリカでの燃費規制や、日本政府による2030年代の電動化達成目標などを考慮すれば、駆動方式をFF(前輪駆動車)としたまま、いわゆるストロングハイブリッド、またはマイルドハイブリッドの導入が必然となるだろう。
CX-60と同じFR(後輪駆動車)のラージ商品群にCX-5を組み込むことも不可能ではないかもしれないが、車室の大きさに伴うパッケージングについて、CX-60と次世代CX-5を差別化することはかなり難しいと考えられる。
価格も、CX-5とCX-60との間で調整が難しそうだ。
そんな次世代CX-5が登場するとなると、現時点でもマツダの生産台数規模では種類と数が多いと言われているプラットフォームやパワートレインが、さらにまた増えることになってしまう。
それでも、マツダは電動化に対する商品ラインアップを拡充することを選ぶ。きめ細かい商品設定こそが、マツダの特徴だからだ。
他のメーカーと同じく、マツダとしても2030年までを「本格的なEV普及への移行期」として見ており、国や地域による政策や市場動向によって導入するモデルやパワートレインを上手く組み合わせていく。
それを、これまでマツダが培ってきた、少ない製造ラインで多様なモデルを生産する混流生産の知見や、長年にわたり広島などの中国地方で共に歩んできた地場サプライヤー各社との連携をさらに深めることで、乗り切っていくことだろう。
次世代に向けてフルモデルチェンジするであろう、CX-5の行方をこれからもしっかりと見守っていきたい。
桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。
◎Wikipedia