アンカー勝負に敗れた駒大

 最終6区は10.2km。4秒先にスタートした國學院大・平林清澄(4年)に駒大・篠原倖太朗(4年)が1.2kmで追いつく。「マラソン日本学生記録保持者」vs.「屋外5000m日本人学生最高記録記録保持者」。両エースのプライドをかけた戦いが始まった。

 ふたりは並走するかたちでレースを進めると、4km過ぎに平林がペースアップ。「30秒差ならひっくり返す」と息巻いていた篠原はついていけない。駒大はアンカー決戦に持ち込みながら、3連覇の野望を打ち砕かれた。

 6区篠原は区間3位タイ。区間賞を獲得した平林に36秒差をつけられた走りは本人も納得できるものではなかった。主将同士のアンカー対決を駒大・藤田敦史監督は冷静に見ていた。

「平林君はクレバーな選手なので、相手の状態を見て仕掛けたりするんですよ。篠原はプライドがあって横に並んだと思うんですけど、それで表情が見えやすい状況になりました。仮に後ろにいたら表情はわからなかったですし、最後にスパートをかけるかたちになれば、篠原の方がスピードはあるので勝てる可能性はあったかなと思います」

 篠原は9月28日に行われたYogibo Athletics Challenge Cup 2024の5000mで13分15秒70をマークしており、そのダメージがパフォーマンスに影響したかもしれない。

 ただ、今回の敗因はエースが本調子ではなかっただけではない。5区までの選手の“ラストの走り”が不十分だったと藤田監督は分析している。

「篠原の『30秒差なら』という言葉に甘えず、1~5区の選手たちは頑張ってくれました。でも最後のひと伸びが各区間なかったんですよ。5区島子も最後は國學院大に離されました。篠原に渡ったときにビハインドというかたちになった時点で私たちの勝てるレースではなくなってしまったんじゃないかなと思います」

 駒大は1区桑田駿介(1年)がトップと15秒差の6位でスタートして、2~6区も区間4位以内と悪くなかった。三大駅伝初出場の5区島子公佑(2年)も区間2位と好走したが、駒大の区間賞はゼロ。前回、前々回でライバル校を突き放した佐藤圭汰(3年)の不在をカバーできなかった。