トランプ支持男性51%、白人男性51%の意味

 高齢問題を抱えたジョー・バイデン大統領(83)が再選を断念、その後釜となったハリス氏は当初、ご祝儀人気にも助けられ、世論調査ではトランプ氏を凌駕した。

 ところが10月に入り、追いつ追われつの大接戦が続いている。

 トランプ氏の相次ぐ失言や陣営内のもたつきに変化がないにもかかわらず、ハリス氏にはトランプ氏を抜き切る勢いはない。

 なぜか。

 ハリス氏の登場当時、囁かれていた「コンクリートの天井」(Concrete Ceiling)が重くのしかかってきているのだ。

「コンクリートの天井」とは、非白人女性が社会的地位向上を目指そうとすると立ちはだかってくる白人男性優先の社会的構造に存在する差別・偏見を指す。

「ガラスの天井」という白人女性に立ちはだかる差別・偏見に比べ、「コンクリートの天井」は重層的差別である。

ssir.org/articles/entry/the_concrete_ceiling

 これはニューヨーク・タイムズの世論調査でもはっきりと出ている。

    ハリス支持  トランプ支持
男性   40%      51%
女性   53%      38%
白人   42%      51%
非白人  61%      27%

nytimes.com/times-siena-poll-likely-electorate-crosstabs.

 ひと言で言えば、男性、特に白人男性はインド系黒人のハリス氏が大統領になることには反対なのだ。

 ピュー・リサーチ・センターの世論調査でも、73%の男性が「女性大統領誕生はそれほど重要ではない」と答えている。

女性は同じ問いに57%が同意している)

 つまり、「多くの男性は女性が大統領になることにはあまり賛成できないし、安心できるとは思っていない」(ラトガー大学のデビル・ワルシュ教授)のである。

latimes.com/are-male-voters-reluctant-to-vote-for-a-woman-harris-backers-confront-question-head-on

 だが、ハリス嫌いは「身内」であるはずの黒人男性にもいるのである。

 黒人男性の20%がトランプ支持、しかも18歳から29歳の若者層でも21%もいるのだ。

 バラク・オバマ氏が大統領選に出た時、黒人有権者の90%以上が同氏に投票したのに比べると、この世論調査結果は対照的だ。