現実的判断に流れたノーベル賞の「汚点」

 業績を年次で整理してみます。

1967:甘利
1972:甘利
1978:福島
1982:ホップフィールド
1986:ヒントンら
2006:ヒントンら

 人類史に「ニューラルネットワーク」で貢献した人を順に並べてノーベル賞を与えるならば

ウォルター・ピッツ(1923-69)
フランク・ローゼンブラット(1928-71)
マービン・ミンスキー(1927-2016) 
シーモア・パパート(1928-2016) 

 らの物故者以外、存命のパイオニアとしては、誰が何をどう誤解しようとも「甘利俊一」を除いて考えることはあり得ません。

 ないとしたら 単に不見識なだけです。

 つまり、今年のノーベル物理学賞は、まことに不見識と言わねばなりません。

 まだ編集部と相談せねばなりませんが、本稿は英語でも出稿・掲載を考えており、そのリンクを含め、ストックホルムのノーベル委員会にも、一東京大学教官としてですが、抗議文を送付する念頭です。

 今年のノーベル物理学賞を、ニューラルネットワークに出すのであれば、物理学者である「ホップフィールド」を残すとしても、

甘利俊一
ホップフィールド
福島邦彦

 の3人が本当のパイオニアへの授賞であれば、妥当になります。ところが、ストックホルムはその正しい判断を下さなかった。

 では、どうしてそんな「不見識」に、ノーベル物理学賞の選考委員会は流れたのか?