紫式部も信頼を寄せた「宮の宣旨」のキャラクター

 初日からわがままを言う和泉式部にぴしゃりと言った宮の宣旨だったが、彼女の思わぬキャラクターがSNSで話題になった。

『紫式部日記』で、宮の宣旨は中宮の彰子と同じ輿に乗っていることから、女房としての地位が高く、藤壺を取り仕切る役割を担っていたと考えられている。

 ドラマでは、そんな宮の宣旨が、ぽつねんとする式部に対して「藤式部はいつも月をみておるな」と声をかけて気遣った。そして「藤式部には子もおったな。うまくいっておらぬのか」と私生活も言い当て、式部を驚かせている。

 式部が「なぜおわかりになるのですか?」というと、宮の宣旨はこんなセリフを言っている。

「お前のような物語は書けぬが、私もそれなりに世のことは学んできたゆえ」

 さりげなく相手の才を褒めているところも秀逸だ。さらに「子を思う気持ちはなかなか届かないのでございます」と悩みを口にするまひろに対して、

「夫婦であっても、親子であっても、まことにわかり合うことはできぬのではなかろうか。さみしいことだが」

 と、宮の宣旨は人生訓とも励ましともとれる言葉をかけた。その寄り添い方からして、SNSでは「理想の上司!」という声さえ上がった。

 実際の紫式部は日記で宮の宣旨のことを「きはもなくあてなるさましたまへり(この上もなく気品のある様子をしていらっしゃった)」として、さらにこう続けた。

「ものよりさし歩みて出でおはしたるも、わづらはしう心づかひせらるる心地す。あてなる人はかうこそあらめと、心ざま、ものうちのたまへるも、おぼゆ」
(物陰からすっと歩み出されたりすると、ついあれこれと気を遣ってしまう。上品な方とはこういう人をいうのだと、その気立てや、物の話し方にも、そのように感じられた)

 孤立しがちだった式部にとって、頼りがいのある存在だったのだろう。ぶっ飛んだ和泉式部に対して、今後、宮の宣旨はどのように接するのだろうか。女房たちの筆頭である宮の宣旨の振る舞いは、組織における後輩や部下への接し方という面でも参考になりそうである。