トヨタには「整理」のほかに「整列」という言葉がある(写真:ponta/イメージマート)トヨタには「整理」のほかに「整列」という言葉がある(写真:ponta/イメージマート)

 生成AIやデジタル機能の進化、ペーパーレスによって仕事にかける労力は軽減されるはずなのに、なぜかタスクが終わらない……。そんな悩みを抱えるビジネスパーソンは、多いのではないでしょうか。トヨタグループのデンソーで徹底的に仕事の「ムダ」を減らし、「成果」を最大化する仕事術を学んだ森琢也氏によるカイゼン術の3回目。

※本記事は『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(森琢也著、青春出版社)の一部を抜粋・再編集したものです

(森琢也:株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役、中小企業診断士)

探しもの時間をゼロにするトヨタ流「捨てる技術」

 ある文具メーカーの調査によると、日本のビジネスパーソンは紙書類を探す行為に、平均で週に約1.7時間を費やしているそうです。

 オフィスの机の上が散らかっていて、いざ必要な書類を探そうとしてもすぐに見つからない。さらに紙書類だけでなく、パソコンのデータも散乱していて、すぐに欲しいデータが取り出せない……。

 1週間で1.7時間ということは、1日に平均すると約20分、紙書類を探すために使っている計算になります(週5日勤務で計算)。さらに、パソコン上のデータ探しも加えると、多くの方が毎日30分以上、探しものに時間を費やしているのではないでしょうか。

 ということは、探しものをしないで済むようになれば、「毎日30分以上、早く仕事が終わる」ことになります。どうすれば、この「探しもの」に費やす時間や労力のムダをなくすことができるのでしょうか。

 方法は簡単で「整理・整頓」して、不要なものを捨てるのです。ただし、このやり方にもトヨタ流があります。