捨てるかどうか迷った時は有期保留

②第三の選択肢〈有期保留〉を駆使する
 ただし、捨てる基準を定めてもその判断基準が適用できないものや、この判断基準で捨てていいだろうかと不安に思うこともあると思います。要否の判断に迷って答えが出ないときは、第三の選択肢として「有期保留」を駆使することをおススメします。

 有期保留とは、2週間や1カ月というように期間を決めて保留し、その期間が終わったときに一度も利用しなかったら「捨てる」という判断をすることです。

 有期保留を駆使し、既定の期間が過ぎたら、結局必要だったのかどうか振り返りを行いましょう。

 振り返りを行うことで、「このジャンルのものは、有期保留しても結局捨てる」「この手のものは、1カ月様子を見たほうがいい」といった具合に、みなさんの判断基準が磨かれていきます。有期保留は、ただの判断先延ばしではなく、判断基準を磨き上げる大切なプロセスなのです。

 整理とは、とにかくいらないものをどんどん捨てていくこと。「捨てる」という作業を通じて、じつは「判断力」という能力の向上も図れます。「何かを探す」というムダな時間や労力を大幅に削りながら、「判断力」を磨き、スッキリ整った仕事環境を手に入れるという、一石三鳥を狙ってみませんか?(続く)

森琢也(もり・たくや)
株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役。中小企業診断士

 2007年明治大学商学部卒後、トヨタグループの大手自動車部品会社(デンソー)に入社。配属された経営企画部署では、製造現場でのトヨタ生産方式の浸透、グループ会社支援など数千億円ビジネスの全体像を学ぶ。事業企画に異動後は、採算改善プロジェクトのリーダーとして、世界5拠点で生産する新製品の採算V字回復などに携わる。
 約10年の勤務後、リクルートマネジメントソリューションズに転職し、研修講師の採用・育成を担当。トヨタグループでの経験を活かして、コストと工数を大幅に削減しつつ、3年間で延べ8000人を超える40代以上ハイクラス人材を選考した。
 2020年に独立後は経営コンサル事業にて、中小企業向け事業計画作成・実行支援を行い、補助金獲得総額5億円超、採択率90%以上を達成。また、研修事業では、大企業からの直接受注を中心に累計100社以上、参加者数6000人以上に研修を実施。複数の仕事(事業)を同時に取り組んできた経験も踏まえ、組織や個人の仕事の生産性向上を支援している。