トランプとプーチンの思惑

 ドナルド・トランプにしてみると、ネタニヤフをせっつくことに利益があることは言うまでもないだろう。

 ネタニヤフもまた、米大統領選での共和党の勝利を望む願望を隠そうともしない。

 では、ネタニヤフはトランプを助けるために、どこまでやるのだろうか。それは今後数週間で明らかになる。

 それと比べると、ウクライナ問題でのバイデンのためらいは、11月5日に何が起きるかに大きな影響を及ぼさない。

 だが、トランプの勝利はウクライナにとって存亡を左右することになるかもしれない。

 このため、ハリスを支持すると言うことでメディアをからかっているとしても、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンにとってもトランプの勝利が利益になる。

 ウクライナの防衛と北大西洋条約機構(NATO)拡大を守ったことがバイデンの最も輝かしい外交政策上のレガシーだ。

 大統領の狙いは、第3次世界大戦を始めることなくウクライナに自国を防衛する道具を与えることだった。

 だが、ロシア領を攻撃する手段を与えられなければ、ウクライナは戦線を守れない。これはバイデンがどうしても与えたくないものだ。