巨匠ルネ・ラリックによる優美かつ繊細なデザイン

「建物公開2024 あかり、ともるとき」展示風景 東京都庭園美術館本館 大客室シャンデリア ルネ・リラック《ブカレスト》

 朝香宮邸の中で最もアール・デコ様式の粋が集められているといえるのが、建物1階の大客室。マックス・アングラン作のエッチング・ガラス扉、扉上部にあるレイモン・シュブ作のタンパンと呼ばれる半円形部分の装飾、宮内庁内匠寮がデザインした暖炉のレジスター。直線と曲線が巧みに融合した幾何学的なデザインは、決して華やか過ぎず、それでいてほどよい装飾性があり、現代に通じるモダンさを感じさせる。

 照明はルネ・ラリックがデザインしたシャンデリア《ブカレスト》。シェードやアームのガラス、中央で支える金属柱など、たくさんのパーツを組み合わせながら、繊細な美しさを醸し出している。

「建物公開2024 あかり、ともるとき」展示風景 東京都庭園美術館本館 大食堂 ルネ・リラック《パイナップルとざくろ》

 大客室に続く大食堂の照明《パイナップルとざくろ》もルネ・ラリックがデザインしたもの。長方形の箱型をしたシーリングライトが3基並べて吊るされており、一見、重厚なムード。とはいえ表面のガラスパネルには果物が大きくあしらわれており、食堂にふさわしい温かみも感じさせてくれる。この絶妙なバランス感覚が、ルネ・ラリックが愛される理由なのだろう。