気になる「リーフレット問題」の扱い

 アメリカでは、既に、大統領候補同士が、選挙に際しての直接の討論で口汚くののしり合うような事態が頻発していますが、今回は、同じ政党内でのトップ選びということもあり、また、日本人にまだ何とか残されている礼節の心もあって、そこまでの事態には至っていないように見えます。

 しかし、その実、あいつは誰それに言われてどちらについたとか、それを誰それが引っぺがして許せんとか、水面下ではそういう話も良く聞かれます。現に、高市陣営が、党員に送ったリーフレットは、今回の総裁選のルールに反しているのではないかと問題視する動きがあり、それに対して高市陣営が反論するなど、嫌な兆候も出ています。

「同じような準備をしていた他陣営はグッと我慢したのに、高市陣営はけしからん」とか、「いやいや、ルール策定前にすでに作業を終えていたということで仕方ない」という反論がなされたのに対して、「いや各人に届いたのはもう少し後だったので止めることも出来たはずだ」などと、泥仕合の様相を見せています。仮に高市候補が、決選投票に残ることになったり、さらには総裁に選ばれたりしたら、大きな禍根を残す話にもなっています。許しがたいと考える向きは、今回の総裁選の結果の正当性を問うことになるでしょう。

 派閥が解散して行われる今回の総裁選は、こうした選挙によるガチンコ勝負の弊害、すなわち事後の運営に支障をきたさないようにするというメカニズムが働きづらくなっています。事前調整はもちろん、事後もポスト配分などによる親分同士の手打ちみたいなことがしづらい状況です。

 かつての仁義なき戦いを経て生み出された“知恵”が働かないところで展開されています。多種多様な候補者たちが多数出たことで選挙は盛り上がるのでしょうが、新総裁が決まった後、本当に「ノーサイド」で、日本の舵取りができるのか、そこに不安が残るのです。