グローバル化が進み、ビジネスパーソンにとって英語力の重要性はますます高まっている。しかし、わかっていてもなかなか思うようにならない。それはエリートである官僚でも同じのようだ。『霞が関官僚の英語格闘記「エイゴは、辛いよ。」』(東洋経済新報社)では、財務省で為替市場課長などを務めた大矢俊雄氏が、自ら経験した英語にまつわるエピソードやそこから会得した実用的なフレーズを紹介している。英語との向き合い方のヒントになる一冊だ。
(東野 望:フリーライター)
最初の海外生活でぶつかった壁
英語力が必要であると分かっていても、実際に身につけるのは容易ではない。多くの人が壁にぶつかりもどかしさを感じている。本書の著者である大矢氏もその一人だった。
1986年に大蔵省(現・財務省)に入省した大矢氏は1988年、25歳で留学した際にはじめて米国に住み、厳しい現実に直面する。
レストランで卵(egg)を注文したつもりだったが、出てきたのはナス(eggplant)だった——。こんなエピソードに象徴されるように、まずは「相手の言っていることが分からない」「こちらの言いたいことが伝わらない」というところから現地での生活がスタートした。
しかし大矢氏は努力を続けることで、後に多数の国から出席者が集まる国際会議をもこなすようになっていく。
実践的な英語力向上法
本書では一般のビジネスパーソンにも参考になる実践的な英語力向上のアドバイスが盛り込まれている。各エピソードの後には、「エイゴで楽になるために」というコラムが設けられ、会議や面談で使えるフレーズやピンチを切り抜けるためのヒントなどが記されている。
例えば、「会議での発言中、英語表現が頭に浮かばず真っ白になってしまった場合」を想定し、
私はいつも、I am now looking for the right words.(今ちょっと適切な言葉を探している最中です。)と言って、さも高尚な表現を模索しているかのように振舞います。
と、具体的なフレーズを伝授。さらに、
ネイティブの中にこういう時にYou knowとかI meanとか It is like… 等を連発する人がいます。でも、日本人がこういうことを言うのはかなり不自然なので、止めた方が良いと思います。
など、“英語を使う日本人”ならではのアドバイスも掲載されている。