脱炭素ビジネスをけん引する中国
その理由として、自動車税の免税・減税措置の他、コンパクトで安価のEV車が販売されていること、EV車であればナンバープレートの獲得が容易であり都市部への進入規制を受けないことなどが挙げられている。中国の消費者からすれば、「EV車を購入しておいた方が何かとお得」なのだ。
中国では、政府が温暖化ガス削減を推進する政策を打ち出しているだけでなく、消費者の行動にも根付いている。
太陽光パネルなどの再生可能エネルギー生産の面でも、中国は世界で大きなプレゼンスを示している。
2023年に全世界で425ギガワットのソーラーパネルが設置されたが、そのうち中国が263ギガワットを占める(前出、ニューヨーク・タイムズ)。
EV車普及や太陽光パネル設置で、中国は脱炭素社会に向けて本格的に舵を切っている。
IEAによると、太陽光パネルの主要製造段階での中国のシェアが8割を超えている(2022年)。主要素材であるポリシリコンやウエハーについては今後数年で中国のシェアが95%になるとの予測もある。中国はポリシリコンの世界の生産能力の79%を占め、その42%は新疆ウイグル自治区にある。
ソーラーパネルの生産が中国に集中していることや、主要素材が人権蹂躙で問題になっている新疆ウイグル地区に依存していることは、サプライチェーンの安定化の点からも大きな懸念材料と言える。
風力発電施設の生産でも、中国企業は成長しており、世界への輸出を加速している。
EV車や再生可能エネルギーの活用・製造で、中国は脱炭素ビジネスで世界をけん引している。中国がないと回らない状況と言ってもいいくらいだ。
以上を基に、ビジネスパーソンとして、どのように捉えるべきであろうか。