本気で脱炭素社会に舵を切った中国

 欧州議会やEU諸国はもちろんのこと、米国の大統領選でも、移民・難民問題やウクライナ・中東問題と並んで、大きなテーマの一つだ。だが、日本では自民党だけでなく、立憲民主党など野党の論争を聞いてもあまり出てこない。総論としては賛成といったレベルで議論が止まっているように感じる。

 政治の動きが鈍いこともあり、一部を除き企業の取り組みも遅れているのが現状だ。

 脱炭素への取り組みは何も先進国だけの話ではない。

「そこまで中国が脱炭素に本気なの?」

 ある企業研修で、私がIEA(国際エネルギー機関)のデータを用いて、各国の脱炭素への取り組みを比較して説明した際の受講生の方の反応である。

 中国というと、石炭などの化石燃料をどんどんどん使って、温暖化ガス排出を進めているイメージがある。実際、直近の統計では、中国の二酸化炭素排出量は、100億トンを超えており、米国の2倍以上のダントツの1位である。ちなみに3位はインド、4位はロシアで、日本は5位だ。

 しかし、一方で、中国は温暖化ガス削減に取り組んできている。本コラムでは、中国と気候変動・再生可能エネルギー問題を考えたい。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(2024年9月)によると、中国は、温暖化ガスの排出量について、他の国がいまだに増えているにもかかわらず、ピークを迎えたとの内容を紹介している。

 各種調査によると、2023年に販売された自動車におけるEV車の割合は約22%で、EU諸国の消費者の環境意識が比較的高いとされるEUの約15%や米国の7.6%を大きく上回っている。

 ちなみに日本は、販売台数に占めるEV車の比率は2%以下である。

 中国でEV車がここまで普及している理由はなぜか。