2.格闘訓練でも完全武装の護衛兵が取り囲む

写真3:これは、特に鍛えられた特殊部隊兵が格闘技訓練を実施しているのを、金正恩総書記が指導している場面だ。

 その周りには、いつもの軍のトップが付き、総書記を補佐しているという構図である。

 前2列の特別部隊兵は筋肉もかなり鍛えられ、瓦やレンガを頭突きや手刀で割っている。

 もし、彼らが金正恩氏を襲えば、一撃で殺すことができる。

写真3:特殊部隊兵の格闘訓練を指導する金正恩(上空から撮影)

 これも、射撃訓練と同様に軍のトップが周りを囲み、さらにその周りに完全武装の護衛兵が配置されている。

 護衛兵の装備、銃の持ち方などは、射撃訓練と同じだ。

写真4:特殊部隊兵の格闘訓練を指導する金正恩(正面から撮影)

 金正恩氏とその関係者は、特殊部隊兵が襲ってくることを想定して、護衛しているのである。

 北朝鮮国家を守る、軍の中で最も強いという特殊部隊が、国の最高指導者を襲うことを考えての行動である。

 特殊部隊兵が金正恩氏を襲う可能性があるのであれば、近くで視察しなければよいという考えもあるが、北朝鮮の軍隊を統率する指導者としてのイメージを国民に宣伝する必要もある。

 しかし、これだけ多くの完全武装の護衛兵を付けるのは異様だ。

 これまでは、軍の視察では多くの兵士に囲まれて、軍兵士にも慕われる最高指導者を演出していた。

 それが、多くの護衛兵に囲まれた金正恩氏が銃を持ち、特殊部隊兵を睨みつけて指導するこれらの構図は、これまでと異なる最高指導者を演出していることを意味する。