加藤勝信が考える安全保障と他党連携
──その一方で、加藤さんは拉致問題担当相も歴任されました。東アジアの安全保障も喫緊の状況にあるかと思うのですが、懸念される台湾有事や極東情勢はいかがお考えでしょうか。
加藤:日本を取り巻く安全保障の環境は激変しています。日本とアメリカの同盟関係を不動の基軸として確立し、そこから各国との関係を築き、防衛対話や両国間関係で一つひとつ物事に対処していくしかないと考えています。
東アジア、またASEANと、自由で開かれたインド太平洋の一員として、日本の役割を明確化し、立場を説明しながら、具体的な問題に対処していくことが大事です。
──国内分野から安全保障まで幅広い政策論をしっかりお話しいただけるのは、さすがだと思うんですけれども、すごく変な話で恐縮ですが、加藤さん、すごく「声がいい」ですよね。お話を伺いやすくて、力強い。
加藤:え、そうですか(笑)。たまにそうお褒めいただくことはあります。
──加藤さんの総裁選出馬の意向を報道で拝見したとき、堂々と、ゆったりとお考えを披露されているのを拝見して「いい声だなあ」とずっと思ってました。
加藤:ふだんは「タワシ」とか言われてますけどね……。
──剛毛は羨ましいですが、ヘアセット大変そうですね……。あまり今回の総裁選では争点になりませんが、公明党との連立政権や、ほか野党との連携についてもお考えを伺えますと幸いです。
加藤:公明党とは24年間、野党となった時代も苦労を分かち合ってずっとご一緒してきました。当然、立場も違えば政策の考え方も異なりますが、丁寧に対話を積み重ねて友党として連立を続けてきました。自公の関係は、いろいろな風雪があったとしても変わらず継続していくべきだと考えています。
また、他党連携のお話について、私も自民党野党転落のときしみじみ思いましたが、人間も政治もいいときばかりではないのです。
政権奪還後のいまでこそ、ありがたいことに有権者の皆さんの請託を戴き安定多数です。長い年月自公で一致協力し、努力して政権運営していますが、なんだかんだ長期間安定した政権の枠組みは、世界を見渡しても稀なことです。どこの国の政権でも、いろんなところと手を組んだり離れたりしています。
公明党とは引き続きしっかりと手を結びながら、政策ごと、あるいは状況に応じて野党とも連携して国民のために政策実現をしていくべきです。
──諸事、お話をお伺いできて楽しかったです。良い形で加藤さんのお考えが国民・有権者や党員さん、他議員さんたちに伝わるといいなと思います。
加藤:政策論争にはなっていますが、みな、同じく自民党を支える議員です。建設的な議論を重ねて、国民に明るい未来を感じてもらえる総裁選したいですね。
──今後のかつのぶフレームにも期待しています。
加藤:「またあのタワシか」って言われるんですよね……。
──マジ草なんですけど。
山本 一郎(やまもと・いちろう)
個人投資家、作家
1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し、『ネットビジネスの終わり(Voice select)』『情報革命バブルの崩壊 (文春新書)』『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』など著書多数。
Twitter:@Ichiro_leadoff
『ネットビジネスの終わり』(Voice select)
『情報革命バブルの崩壊』 (文春新書)
『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』(文藝春秋)