なぜ社会保障改革が総裁選の争点になっていない?!

──でも、ネット動画などで加藤さんのお話を拝見していると、娘さんたちととっても仲良しですよね。

加藤:一緒に料理をしたり、最近の話題を聞いたりね。「マジで草」などと言われて意味が分からず、尋ねると「お父さん、それも知らないのか。マジ草」と呆れられます(笑)。

──それはマジ草生え散らかす。加藤さんの社会保障に関する考え方、非常に地に足がついておられるように思うんですよ。単に厚労相を3回もお務めになられた経緯からの政策論だけではなく、そういう実際に働く人の子育ての苦労やニーズをよくご存知だからなのかなと感じます。

加藤:はい。今回の総裁選では「協創」、さまざまな立場で暮らす国民全員で力を合わせてこの社会を創り、生産性を高め、よくしていくんだという思いを込めてスローガンにしています(加藤勝信 総裁選特設サイト)。

 日本の強みを呼び覚まし、一人ひとりの思いを形にする「ニッポン総活躍プラン」を実現するため、中山間部など人口の少ない地域も含めた地方経済の再生と、働きやすさ、暮らしやすさを前面に出して、ご理解とご支持を賜りたいと活動しているんです。最優先で取り組むべきは、国民の所得倍増です。

──総裁選に限らず、どの選挙でも有権者の関心の上位は「年金・社会保障」が来ますし、また少子化対策や教育の問題は常に中心になりますね。

加藤:そうなんです。

 特に社会保障改革は次の政権で自民党が責任を持って取り組むべき最優先課題の一つです。地方にお住いの方や高齢の皆さんが、最低でも、向こう10年間、暮らしに心配することのないよう政策を考え実行していくことが重要だと考えています。

山本一郎とにこやかに話す加藤勝信氏山本一郎とにこやかに話す加藤勝信氏

──今回の総裁選では、本来は重大な問題であるはずの社会保障改革があまりメインのテーマに入ってこないのが気になっています。次の政権では社会保障改革は待ったなしですが、増え続ける医療費を抑制するために診療報酬もいじらないといけませんし、医師の地域偏在や、保険外併用療養(保険給付と自己負担の組み合わせ方式)も視野に入ってきます。加藤さんは自民党の社会保障調査会長にも就任しておられましたよね。

加藤:国民の健康を支える保険医療は、年金など社会保障の財源とセットで考えていかなければなりません。地域で支える地域医療構想の推進を図り、公的な医療サービスの提供は制度の改善と医療DXなど情報化で生産性を引き上げ対応していきたい。

 保険外併用療養も、保険でカバーされない先端医療を受けたいという国民は、入院など基本的な医療費も全額自費になってしまいます。社会保障を支える諸制度の信頼を失わないようにしながら、人材面や薬価・創薬、健診のような予防医療も踏まえて人生100年の高齢社会に見合った改革を推進しないといけないんです。