かなり仕上がっている感のある政策論

──高齢者の暮らしで不安を感じる人は少なくないと思いますが、一方で、勤労世帯を中心に社会保険料が上がって手取りが減り、生活が苦しいと考える人たちも増えてきています。

加藤:そのためにも、しっかりとDX含めて情報化投資を行い、経済を合理的に回すための技術の振興と政策の両輪を築き上げることが重要です。

 ひとくちに「生産性を2割引き上げる」というのは大変なことですが、医療でも、産業でも、行政でも、生活を維持していくために必要な投資の循環を実現できるために政策的な後押しをしていく。なんとしても、実現していかなければならないのです。

 そして、そういう経済力を確保するためにも労働市場改革や賃上げを促進して「国民の所得倍増」と、産業・社会への投資を増やして好循環を作っていきたいと考えているんですよ。

──加藤さんの公約を拝見していると、地方経済や農林水産業の立て直しと併せて、技術や情報化への投資にもかなり力点が入っていますね。

加藤:そうです。

 その地域に見合った暮らしを実現するために、その地域に必要な投資を促す政策を推進することはとても大事だと思うんです。もちろん、すべての地域に求められるだけすべての投資を行う余力はありませんが、しかし地域には国立大学もあり、働く側もリスキリングのニーズがあり、企業も地元で良い社員を雇いたいと考えている。

 国立大学にも地元経済の核となる人材の育成や技術、研究を担える仕組みに変えていかなければなりません。きちんと研究予算や教育に関わる資金をもっと投下して高度教育が地域で行え、その地域でそういう高度な知識を持つ人が働ける職場を作り、その企業や地域に投資を増やせる政策が必要です。

──少子化が地方で深刻な問題になっていますが、地域の特色にあった科学技術の振興を行うことで、地域の競争力を維持していこうという考えでよろしいでしょうか。

加藤:はい。地域の立て直しのためには、大学も企業も医療もすべての機能が揃って、初めて「協創」社会が構築できる。給食費、こども医療費、出産費の負担をなくす「三つのゼロ」や、人生100年時代を見据えた社会保障改革と、地域経済の再生、生産性の向上による所得倍増は、すべてが地続きの政策だと言えるんです。

──加藤さんの政策論を拝聴していると、かなり仕上がっている感じがあるんですが、やはり安倍晋三政権の後継として発展的な政策をずっと吟味してこられたんでしょうか。

加藤:安倍政権、菅義偉政権、岸田文雄政権、すべてその都度必要な政策を実現して国民からの期待に応えてきました。私も閣僚としてお仕えする中で、さらに日本を発展させるにはこういう政策が実現できたら素晴らしいとずっと考えながら職務をこなしてきました。

 農林水産業もイノベーションも、国民の生活を豊かにするための重要な分野とよく理解したうえで、おのおのの役割を果たし、安心して暮らしていけるしっかりとした「協創」社会にしていくべきだと思います。