信者は1億2000万人!プレート説は現代の「天動説」
1970年代当時の地質学者は日本の国土の実情に照らして「プレート説は正しくない」と判断していました。そのため、プレート説の導入に消極的だったのですが、プレート説を信奉する学者たちの眼には「日本の地質学者はレベルが低い」と映りました。その結果、地質学者は地震学における発言権を奪われてしまったのです。
私は日本の地震学の将来について憂慮しています。「地震学はかつての天動説に似てきているのではないか」との不安が頭をよぎります。
天動説とは「宇宙の中心に地球があり、その地球の周りを惑星や月、太陽、星々などが回っている」という天文学の1つの説です。
紀元150年前後のエジプト・アレクサンドリアで活動していたプトレマイオスは、天動説の集大成とも言える『アルマゲスト』という書物を出版しました。
プトレマイオス以降、ローマ帝国ではしばらくの間、この難しい『アルマゲスト』を元に研究が重ねられていたのですが、中世に入るとその動きはパッタリと止まってしまいました。
当時の欧州の人々は「キリスト教の宇宙観は絶対だ」と盲信するようになり、宇宙自体を探究することをやめてしまったようです。
このため『アルマゲスト』は、1543年にコペルニクスが『天体の回転について』という地動説の本を出版するまで、1400年もの長きにわたって権威を保ち続けたのです。
学問の現場で自由な気風がなくなりつつある中、地震学者からプレート説に代わる新たな学説を生み出そうとする動きはほとんどありません。内心おかしいと思いながらプレート説に依拠した研究を続けていても、学問的な刺激はかき立てられないでしょう。 そのせいでしょうか、最近、地震学を目指す地球科学系の若者が減少しています。