「当たり前の行動」が組織をうまく回す

 ほかにも「不安を抱えたら具体的な行動で不安を解消する」「組織図に沿ったコミュニケーションを心がける」など、工藤氏が「勝ち続けるため」にとった様々なアクションについて本書では紹介している。

 こうした努力の結果、2021年に退任するまでの7年間で5度もソフトバンクホークスを日本一に導いた。

 一般企業の中でもふんぞり返っているだけの役職者や、自分では数字を稼げてもチーム全体のマネジメントができないリーダーに心当たりはないだろうか。それでは「勝ち続けるチーム」はつくれない。

 監督就任2年目にそのことに気づいた工藤氏は、リーダーとしてのあり方を変えていったわけだが、彼がとったアクションを一つひとつみると特別なことではない。野球界という特殊な世界だけでなく、一般企業にも応用できることが少なくない。

 自らのリーダーシップやマネジメントのあり方に悩んでいる経営者や管理職にとっても得るものがありそうな一冊だ。

プロ野球の監督は中間管理職である』(工藤公康著、日本能率協会マネジメントセンター)