「名誉市民称号の剥奪」が取り下げになったギュンター・グラス

 先ほど名を挙げた、ダンチヒ出身の作家ギュンター・グラスは1999年ノーベル文学賞を受賞しています。

 78歳になった2006年、自身が15歳でドイツ軍に志願し、1944年11月、17歳時点で「武装親衛隊」に配属、翌45年2月から4月20日に負傷するまで、戦車の砲手として勤務したことを告白しました。

 グラスは様々な批判を浴びましたが、世論の7割は必ずしも告白する必要のなかった従軍経験を素直に公表したグラスの行動に好意的でした。

 グダニスク市議会でも一度は取り沙汰されたグラス氏の「名誉市民称号の剥奪」は取り下げられ、無事収束しました。

 ギュンター・グラスの、かつてナチス兵士として従軍した事実ですら、率直にこれを認めることで、グダニスク市議会も誠実な対応を受け入れました。

 たった2か月半ほどの間に、県職員を2人も死に追いやったのは、万人の目に明らかな事実です。

 しかし、一言非を認めることができないというのは、己に確かに寄立つところのない、半人前の所作と思います。

 8月30日「百条委員会」での「斎藤証言」は自民党主導の理事会でインターネット音声動画中継が発表されたようです。

 前代未聞の生中継、一人の人間として中心から、素直に謝れる実力があれば、と心から願わないわけにはいきません。

【前回の記事削除についてのお詫び】
前回、斎藤兵庫県知事について取り上げた記事で、「兵庫県議会条例」と「兵庫県条例」を取り違えて論じていたことが分かり、記事を削除させていただきました。関係者および読者の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。心からお詫び申し上げます。