指紋の照合にはどのくらいの時間がかかるのか?

──昔、ある刑事映画で「指紋の照合には数日かかる」と言っていた記憶があります。照合にはどれくらい時間がかかるのでしょうか?

甲斐:それは採取した指紋の状態によって変わります。

 指紋には隆線があります。隆線は分岐するところや重なるところがあり、デザインが複雑です。そうした指紋の隆線の特徴点が、指一つの指紋の中におよそ100あると言われています。日本の警察における「指紋の一致」とは、指紋の特徴点が12点一致したら、そこで一致したと判断されます。

 12点が一致する指紋が出る割合は、世界の総人口の数以上の数の内の一つの一致です。その人以外考えられないということです。しかし、12ポイントが一致しないと、証拠としては採用されません。

 きれいに指紋の形が全て出ていれば、自動識別システムですぐに結果が出ます。逆に、細部などが曖昧な場合は、細部まで鮮明化させていく作業を行います。そうした作業には時間がかかる場合もあるのです。(後編に続く)

長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。