再稼働の審査で不合格となった敦賀原発2号機(写真:共同通信社)

この夏、原子力規制委員会の存在がクローズアップされる出来事がありました。日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)について、「原子炉建屋の真下に存在する活断層が動く可能性を否定できない」として、日本原電の再稼働申請を不合格としたためです。原発設置の規制基準に満たないとして再稼働を認めないケースは、初めてでした。原子力規制委員会は、それぞれの原発が規制基準に適合しているかどうかを審査する機関で、原発の命運を左右する大きな力を持っています。それはどんな組織で、どのように活動しているのでしょうか。日本のエネルギー問題と切り離せない委員会の仕組みや権限をやさしく解説します。

フロントラインプレス

敦賀2号機の原子炉建屋の真下に活断層

 日本原電敦賀2号機の再稼働申請について、原子力規制委員会が「不合格」の結論を出したのは、2024年7月26日の審査会合でした。1週間後の8月2日には委員会が事務局に対し、不合格の手続きを進めるよう指示。同2号機は再稼働のめどが立たない状況に追い込まれました。

敦賀原発2号機の原子炉建屋の下を走る活断層(図:共同通信社)
拡大画像表示

 原発の規制基準では、活断層の真上に「安全上の重要施設」を配置することを認めていません。ところが、敦賀2号機の原子炉建屋の真下には活断層が走っています。

 事業者の日本原電は、将来にわたってこの活断層が動かないと証明できない限り、再稼働を認められない状況になっていました。日本原電側は、ボーリング調査の結果などから活断層が動く可能性はないとしていましたが、原子力規制委員会はこれを否定。日本原電が求めた追加の調査についても、「科学的根拠がない」として退けました。

 当事者の衝撃は大きかったようです。

 規制委による不合格の決定後、日本原電はコメントを発表し、「大変残念であります」と表明しました。さらに2号機の再稼働に向けて活断層の追加調査などに取り組む意向を示しましたが、規制委に対する具体的な反論はないまま。かねて「2号機を廃炉にする考えはない」(村松衛社長)としていた日本原電は、厳しい状況に追い込まれました。