8月5日に日経平均株価は前週末4451円(12%)安の3万1458円で取引を終え、ブラックマンデーを超える下落幅を記録しました。一方、翌日6日は急反発し、上げ幅は3217円(10%)と過去最大を記録。日経平均株価の値動きが激しくなるなか、第一生命経済研究所の藤代宏一エコノミストは「1年以内には4万円を回復するだろう」と言います。今後の日経平均株価の動きや米国景気などをどう見るかを聞きました。
(河端 里咲:フリーランス記者)
——日経平均株価が8月初頭に大暴落しました。まず今回の暴落の背景を教えてください。
藤代宏一・第一生命経済研究所主席エコノミスト:日経平均株価の暴落のきっかけとなったのは日銀総裁の会見と米国の景気後退の懸念です。
まず7月31日の日銀の植田総裁による総裁会見が「(金融引き締め政策を支持する傾向にある)タカ派」すぎる内容だったことから、「(低金利通貨の円で借り入れして高金利国の金融資産などを運用する)円キャリー」の投機筋の人たちのポジション調整が急激に迫られたことがあります。
そして世界同時株安の大きな原因となったのは、米国の景気後退の懸念です。8月2日に発表された米国の雇用統計では、直近3カ月間の平均失業率が過去1年の最低値を0.5ポイント上回ると景気後退が懸念されるという最近話題の「サーム・ルール」に抵触。米国の景気後退の不安が一気に広がりました。
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ただ8月6日の日経平均株価はかなり戻ってきており、「リーマン・ショックの始まり」のような状況ではないと見ています。
——なぜ今回の暴落は「リーマン・ショックの始まり」ではないのでしょうか。