言うことを聞かない子どもにイライラが募る(写真:PR Image Factory/Shutterstock)
  • 今年6月、北海道江別市で小学校1年生(6歳)の息子の頭を手で叩いた39歳の父親が現行犯逮捕された。
  • 報道によれば、110番通報したのは息子の母親で、逮捕された男は叩いた理由を「家族で出かけるのに息子が準備していなく、注意した時にゲーム機を持っていて、態度に腹が立った」と話しているという。
  • 教育評論家の石田勝紀氏は「年々、イライラ感を持つ親が増えている」と分析する。石田氏はこれまで4000人以上の子どもを指導し、1万人以上の親の子育てに関する相談に乗ってきた。親のイライラ感をなくすにはどうしたらいいのか、石田氏に聞いた。

(湯浅大輝:フリージャーナリスト)

イライラする親が増えている

──息子の頭を叩いた父親が逮捕される事件が話題になりました。石田さんは長年にわたる子育て相談の実績がありますが、この事件をどのように分析していますか。

石田勝紀氏(以下、敬称略):「頭を叩いて逮捕された」という情報だけでは、実際の状況が分かりませんから、なんとも言えません。

 ただ、子育ての専門家としての意見をお伝えすれば、体罰に対する考え方が厳しくなっているのは賛成です。なぜ、しつけとして体罰が好ましくないかは後でお話しします。

石田 勝紀(いしだ・かつのり) 教育評論家  1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

 大前提として、私のところにご相談いただく親御さんの9割がママさんです。ママさんから「子どもを叩いてしまいました」というような相談を受けることは、ほぼありませんね。あるとしても、「子どもがものすごく小さい時に、感情に任せて叩いてしまいました」というものくらいです。

 それよりも、もっと問題だと思っているのは「親のイライラ感」が増していることです。私は約35年子育て支援に関わっていますが、年々イライラしている親御さんが増えているように感じます。

 特に、父親が自分の価値観を押し付けるケースが激増しています。「自分もこうやってきたのだから、お前もこうやれ」という思考を持つ人が確実に増えています。

──なぜイライラする親が増えているのでしょうか。