性衝動に結びつきやすい攻撃衝動

片田:自分自身に向かうようになります。一つは、うつになるなど精神面に出るケース。もう一つは、蕁麻疹が出たり、お腹が痛くなったり、頭が痛くなったり、身体面に影響が出る場合です。怒りを溜めてはいけません。

 問題は、自分の怒りを自覚していない人もいることです。親に対して怒っていたり、夫に対して怒っていたり、本人に自身の抱える悩みを語っていただくと、だんだん怒りの原因が明らかになってきます。

 まず自分が怒っていることをきちんと自覚すること。その怒りが誰に対するものなのかを自覚して、ちゃんと発散しないといけません。

──ストレスをかけている相手が特定できた場合、「そのようなことはやめてほしい」とちゃんと表明することが必要ということですか?

片田:そうですね。ただ、言いにくい場合もあると思います。そういう場合は、たとえばスポーツをして汗を流したり、格闘技などをやって殴り合ったりすると効果があります。自分の怒りや攻撃衝動を何らかの形で出すようにしておかないと、変な形で出てきてしまいますので。

 その顕著な例は最近のカスハラでしょう。スーパーやコンビニ、飲食店で、言い返せない立場の店員さんに強烈な暴言や罵詈雑言を吐く客の問題です。場合によっては、暴力を振るう人もいますよね。抑圧した怒りをどこにも向けることができないために、あのような形で出ているのだと思います。

 あるいは、お酒を飲んだ時に暴力事件や痴漢などの問題行動を起こす人がいますよね。昔はNHKや朝日新聞など、大手メディアの社員がそういう事件を起こしたこともありました。相当に抑圧した憤りを抱えていたのでしょう(笑)。

──痴漢は、いわゆる暴力や暴言ではありません。性的な欲望という形で攻撃が出るケースもあるのですか?

片田:性衝動と攻撃衝動は結びつきやすいという面があります。怒りをはじめとする抑圧された感情がある時に、自分より立場の弱そうな女性に対する性的な嫌がらせという形で出ることがあります。特にお酒を飲んで抑圧が取れた時です。

──サディスティックな性衝動を持つ人もいます。これも、ストレスと関係があるのでしょうか。

片田:サディズムは多くの場合、その人が生まれつき持っている性的嗜好なので、必ずしもここには該当しません。ただ、人を攻撃することに性的な興奮を覚える人は、一定の割合で存在します。