「バーチャル女性メンバー」の役割を果たした生成AI

 この研究を行ったのはコーネル大学の研究者ら。彼らは178人の被験者を集め、男女いずれかが多数派となるチームにランダムに割り当てた。各チームは3人の人間と、1つのAIエージェントで構成されていた。

 AIエージェントとは文字通り、人間のように行動するAIだが、この実験では研究者がChatGPTを使ってさまざまな発言(テキスト)を生成。それを別の音声合成AIを使って音声化し、オンライン上に投稿するという形で操作された。なお、人間の被験者に対して、AIが参加していることは明かされなかった。

 ここで加えられたひねりが、エージェントの性別として、男性と女性両方を用意するというものだ。

 エージェントは画面上に表示され、指示を読み上げたり、アイデアを提供したり、時間管理を行う役割を担った。それを男性もしくは女性の声で行ったのだ。

 男性が多数派を占めるチームに男性もしくは女性の声をしたエージェントが参加するパターンと、女性が多数派を占めるチームに男性もしくは女性のエージェントが参加するパターンの、合計4パターンが設定された。

 さらに、被験者たちにオンラインで実行してもらうタスクとして、性別に関係のないタスク(水とエネルギーの節約に関するアイデアをブレインストーミングする)と、性別が関係するタスク(従業員のプロファイルを評価し、昇進候補者を決定する)という2種類が用意された。

 また、各チームはランダムな順序で、男性のエージェントと女性のエージェントの両方と協力してもらった。

 それぞれのチームに作業を実施してもらった後、研究者らは会話ログを分析して、被験者たちがどの程度アイデアを出したかや議論にどれだけ参加したかを評価した。結果はどうなっただろうか。