- 生成AIを活用すれば、プログラミング言語やアルゴリズムなどの知識やスキルがない人でもコーディングが可能な時代になった。
- だが、最新の研究結果によれば、コーディングが得意な学生は生成AIを活用することで効率的にタスクを処理したが、苦手な学生は生成AIを活用することで、逆にスキルの習得から遠ざかる結果になった。
- 生成AIによって何でも効率的にできると思いがちだが、AIに頼るにしても、賢くなったのはAIであり、自分自身の継続的なスキルアップが不可欠だ。
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
歓迎されるコード生成AI
さまざまな分野に普及しつつある生成AIだが、中でも大きな期待が寄せられているものの一つがコーディング(プログラミング)の世界だ。
コード(プログラム)を書くためには、それに使用するプログラミング言語に関する知識と、アルゴリズムを考える論理的思考力が求められる。しかも、コーディングは予算や納期といった制約の中で行われ、さらに「絶対に間違いが許されない機能を開発する」というストレスがかかることも多い(もちろん一人のプログラマーがバグを解消する全責任を負うわけではないが)。
しかし生成AIを利用すれば、そうした知識やスキル、ストレス抜きで誰でも瞬時にコードを生成できてしまう。
たとえば、ChatGPTに「入力された数字が素数かどうかを判断するプログラムをPythonで書いて」と指示してみたところ、次のような結果が得られた(Pythonとはプログラミング言語の一種だ)。
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筆者は20年近く前までシステムエンジニアで、プログラムを書いていたこともあるのだが、残念ながら使っていたプログラミング言語はPythonではなかったので、生成されたコードが正しく動くかどうか自信がない。
そこで、さらにChatGPTに対し、「テストケースを作成し、いまのプログラムが正しく動くか、実際に動かして検証してみてください」と指示したところ、次の結果が得られた。
長くなってしまうので一部を抜粋したが、ChatGPTは30件のテストケースを用意し、それを使って実際にプログラムを実行して、結果を示してくれた。どうやら正しく動くコードが生成されていたようだ。
もちろん、素数判定のような簡単な機能ではなく、もっと複雑な目的を果たすプログラムを開発するとなれば、何らかのエラーが発生したり、正しく動いたとしても脆弱性が含まれてしまったりする可能性は高くなる。
しかし、ある程度の性能は達成されており、生成AIを活用することで、コーディングの経験がなかったり少なかったりする人でも望んだプログラムを手にできる時代が到来していることを感じていただけたのではないだろうか。
実際に最近、興味深い事件が起きている。