2020年の人事制度改革により「支援型マネジメント」を推進し、イノベーションを起こせる組織を目指し組織力の強化を図っているサッポロビール。

 ストレッチゴールやノーレイティングといった、ユニークな取り組みをはじめとした人事制度改革について、同社取締役執行役員の内山夕香氏が語った講演の骨子をお届けする。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第3回 人的資本経営フォーラム」における「特別講演:多彩な“らしさ”を輝かせて未来をカイタクする~サッポロ流「支援型マネジメント」とは~/内山夕香氏」(2024年8月に配信)をもとに制作しています。

強み×人財戦略で未来を開拓するイノベーション集団を目指す

 サッポロホールディングスは2026年にグループ創業150周年を迎えます。今まさにカウントダウンの時を迎えている中、2023年から2026年の中期経営計画で、「Beyond150~事業構造を転換し新たな成長へ~」というグループ全体の基本方針を掲げています。

 この基本方針を実現するのは人財以外の何物でもありません。実現のためにも、サッポログループが持つ強みに人財戦略をかけ合わせて「ちがいを活かして変化に挑む越境集団になろう」と考えています。

 サッポログループの強みは、もともと北海道の開拓使としてビール醸造所を作り、産業を興してきたというルーツがあることです。開拓使として人を育てる、モノを作るといったことについて真摯(しんし)に向き合ってきました。

 その強みを活かしさらに輝かせる人財戦略として、グループ全体での人財戦略と、それを踏まえた事業会社ごとの戦略があります。サッポロビールという事業会社においても、独自に中期経営計画と人財戦略を掲げています。

 そのサッポロビールの人財戦略の方針を端的に表すのが「多彩な“らしさ”を輝かせ、未来をカイタクするイノベーション集団となる」という言葉です。会社や一人一人の強みを活かして、事業構造を大きく転換し、国内外に市場を開拓し大きく成長させていくことを目指しています。

 サッポロビールでは、そうした方針を実現するための人財戦略を策定していますが、特に重視しているのが「強みを活かした人財の活躍」と「挑戦を喚起し、イノベーションを実現する風土醸成」の2つの柱です。