裏金は選挙のため?私腹を肥やすため?
安田洋祐:そもそも論として、選挙には、我々から直接見えない形で相当なお金だったり時間だったりというコストがかかってることは間違いないですよね。だとすると裏金についても、単に私腹を肥やすためという人もいるのかもしれないけど、どちらかというと、やっぱり次回当選するためにお金があったほうが有利で、選挙結果を左右するために使っている人もいるかもしれませんね。というと、裏金議員を擁護しているみたいですけど……。
【安田洋祐(やすだ・ようすけ)】
大阪大学経済学部教授。専門は経済学。
1980年東京生まれ。ビジネスに経済学を活用するため2020年に株式会社エコノミクスデザインを共同で創業。メディアを通した情報発信、政府の委員活動にも積極的に取り組む。著書に『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』(日経BP・共著)、監訳書に『ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀』(東洋経済新報社)など。
西田:でも、実際に着服しているかもしれないですよ(笑)。領収書もいらない、源泉徴収もされない、要するに流れや使途がまったく把握されないお金なわけですよ。普通に考えたらおいしいですよね? やはり私腹を肥やすような使われ方もしているのではないでしょうか。
とはいえ、安田さんがおっしゃる通り、政治活動にお金がかかるのは事実で、当選回数の少ない国会議員などは事務所を回すためのランニングコストに対して収入が足りないからそこに使っている、ともいわれています。
また、国会議員本人の移動には経費がかからないわけです。JRのフリーパスとか無料航空券があるので。でも一緒に移動する人のコストはやっぱりかかるんですよね。そういうところに政治活動をするランニングコストみたいなものが結構かかるようです。
さらに国会議員が当選するためには地元での活動量が大事だというときに、それを代わりに担うのは地方議員たちです。地方議員たちが、国政選挙のときに「Aさんをお願いします」といった形で、国会議員に代わっていろいろ活動するわけですが、その際にも「経費」がかかります。それに使われるのが政策活動費です。ですから、政治活動をするには通常の会社員の経費などとは違う使い方のお金が発生するのは間違いなさそうです。
政治家に資金をある程度自由に使わせながら、記録も残しつつ、残させつつ、同時に、違反者に対し正しくペナルティとして機能するような制度はどんなものがあり得るのか。
具体的にどんなものなのかぼくはイメージしにくいので、安田さんのお考えがあったらお聞きしてみたいと考えています。
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■連載:日本の「政治」大丈夫なんですか?
(1)【西田亮介が語る】令和の「パーティー券」裏金事件、なぜ過去の「政治とカネ」問題より悪質なのか
(2)【西田亮介が語る】なぜ、裏金問題は繰り返されるのか?政治家が資金の使途を絶対に明らかにしたくない理由←いまココ
(3)【安田洋祐が語る】なぜ、裏金問題では関係者で死者が出るのか? 「悪事を一切認めない」が招く最悪の結末
(4)【安田洋祐が語る】ダイハツの認証不正と政治家の裏金問題の共通点とは?政治にも「内部告発制度」が必要か