かりゆしを着て閣議に臨む岸田文雄首相=6月4日(写真:共同通信社)
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(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

「投票したい政党がない!」

 岸田内閣の支持率が低空飛行を続けています。各メディアが実施した世論調査を見ると、国民の間に政権交代への期待が高まっていることがうかがえます。

 朝日新聞が5月18、19日に実施した世論調査で、今後の政権は「自民党を中心とした政権が続くのがよい」か、「自民党以外の政党による政権に代わるのがよい」かという問いに対して、〈自民党中心〉と答えた人が33%、〈自民党以外〉と答えた人が54%となりました。

 毎日新聞の5月18、19日の調査では、総選挙での比例代表の投票先について、自民党という回答を立憲民主党という回答が上回りました。自民党への逆風は、政治資金をめぐる裏金問題に対する国民の怒りに端を発しているのは明らかです。

 こうしてみると、野党第一党の立憲民主党に追い風が吹いているようにも見えますが、2009年に政権交代を実現した時のような世論の熱気は感じません。また一時期、維新の会への期待も高まっていましたが、こちらも最近は様々な補欠選挙などで立憲民主党に後れを取っている感じです。つまり、現時点での世論の大勢は、「自民党に鉄槌を下してやりたい」という思いがありながらも、自民党に代わる投票先を見つけあぐねている、というところではないでしょうか。

 これは民主主義の大きな挫折ととらえることもできます。