下落を続ける住宅販売

 合肥は5月末、商品住宅の売り上げが4月末に比べて8.9%も下落した。前年同期比では48.24%の下落だ。不動産の面積、軒数、面積あたりの価格いずれも前月よりも下落し、政策の効果が見えなかった。

 武漢、長沙では新築住宅に関しては売上前月比2割増しと好転しているが、前年同期比でみれば3割下落している。しかも新築に限定しており中古住宅市場を含めると、実際前月比でも住宅売り上げは落ちているという説もある。

 当局側はこのあたりを発表していないので、実際は不明なままだ。証券時報が報じたところによれば、二線三線都市の住宅平均売上では前月比6%増前年同期比34%減。南京、蘇州、重慶、福州、長春、嘉興、無錫、珠海の5月の売り上げは軒並み4月より落ちていた。このデータからは、はっきりいって517新政のポジティブな影響は読み取れないのだ。

 さらに、中国政府が奥の手として打ち出した不動産在庫の買い取り政策も、不動産市場救済にはつながるとは思えない。

 習近平の不動産バブル圧縮政策「三つのレッドライン」などで、民営大手デベロッパーが抱えている不動産在庫が売りたくても売れなくなってしまった。不動産在庫が売れなければ、民営不動産企業が抱えている未完の不動産を完成させて購入者に引き渡す「保交楼」政策を推進するための資金も調達できない。

 企業は倒産するしかなくなり、未完の野ざらし不動産「爛尾楼」ばかりが残る。

 こうした問題を解決すべく、人民銀行が3000億元規模の保障性住宅用融資基金を創設し、国有銀行21社がこの基金を利用して、国有不動産企業に融資し、国有不動産企業が住宅在庫の買い取りとそれを保障性住宅に転用して、販売あるいは賃貸住宅として運営するプロジェクトを実施する。この実行部隊は通称「国家隊(ナショナルチーム)」と呼ばれている。

 また人民銀行は都市再開発プロジェクトを支援するために5000億元の担保補完貸付制度を創設するので、総額1兆元規模のプロジェクトとなる。これは中国メディアが歴史的規模の不動産市場救済政策、と鳴り物入りで報じた。

 その成否の判断は少なくとも年末まで待つべきだという意見もあるのだが、私はこの政策は根本的に不動産市場救済策が狙いじゃない、と思う。