――ロシアと中国だけ排除されたのですか。
法律で排除されたのはその2カ国だけです。とはいえもちろん、北朝鮮を招待するつもりはありませんけどね(笑)。重要なのは、法律が成立したのが2021年9月、つまり戦争が始まる前だということです。
――再生可能エネルギーについて伺います。温室効果ガスを減らすためには再生可能エネルギーの利用が必要です。しかし、例えばソーラーパネルの多くは中国製なので、太陽光発電を増やすことで中国への依存度が高まるという議論が日本では起きています。
私たちはヨーロッパにおける輸入石油・ガスへの依存度を下げるべく、移行を進めています。石油やガスに関してサウジアラビアやロシアへの依存度を下げたいのであって、石油やガスへの依存を、ニッケル、コバルト、リチウム、銅といった他の原材料への依存に置き換えては意味がありません。エネルギー移行において安全保障上の問題が非常に重要なのは明らかです。
ウクライナは生き残らなければならない
――チェコの隣国スロヴァキアについてお聞きします。チェコのペトル・パヴェル大統領は現状、ウクライナ国民にとって最も信頼できる強力な支援者の一人です。一方、スロヴァキアでは、昨年の総選挙と今年の大統領選の結果、親ロシア的とも見られる政権が誕生しました。かつては同じひとつの国家(チェコスロヴァキア)だったチェコとスロヴァキアですが、現在のロシアへの向き合い方の違いは何に起因すると思いますか。
ひとつの国だったのは32年前までで、ずいぶん昔のことです。チェコスロヴァキアは、二つの異なる国民から成り立つ大きな国だったと言えます。それぞれが分離したことは、お互いにとって良いことだったと私は思います。私たちは友人であり、今でもお互いを理解しているし、言葉も似ています。それでも異なる国民である以上、一緒にいる理由がなかったのです。
――例えばスロヴァキアにとって、エネルギーの脱ロシア化がチェコより難しい事情があるのでしょうか。
私はそうは思いません。チェコは内陸国で海がありませんが、オランダやドイツでLNGターミナルを借りることができました。これは誰でもできることです。何を達成したいか、それが問題なのです。
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