孤立深めるイスラエル、米バイデン政権にも批判集中

 ちなみにICCの刑罰に死刑は含まれず、最も重い刑罰は終身刑です。裁判で刑が言い渡されれば、受け入れる意思のある国の中から裁判所が指定する国で刑が執行されることになります。指定がなければ本部のあるオランダの刑務所で執行されます。

 ICJ、ICCの決定は強制力がないために、今のところ、ガザ攻撃によってパレスチナの犠牲者が増える事態を改善できないでいます。それでも、イスラエルがICJの攻撃停止命令に従わなければ、国連憲章94条違反、つまり国際法違反となります。イスラエルは国際的孤立をいっそう深めることになるでしょう。

 イスラエルを支援する米国のバイデン政権に対しても国内外からの批判が集中しています。2つの国際裁判所の決定はガザの流血に歯止めをかけることができるのか、世界が注目しています。

西村 卓也(にしむら・たくや)
フリーランス記者。札幌市出身。早稲田大学卒業後、北海道新聞社へ。首相官邸キャップ、米ワシントン支局長、論説主幹などを歴任し、2023年からフリー。日本外国特派員協会会員。ワシントンの日本関連リサーチセンター“Asia Policy Point”シニアフェロー。「日本のいま」を世界に紹介するニュース&コメンタリー「J Update」(英文)を更新中。

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