もはやつまらぬ難癖

 こうなると、なんでもかんでも陰謀論的に見えてくるのだろう。「今年4月の米コーチェラ・フェスティバルのステージや、昨年末のNHK『紅白歌合戦』でも日の丸を連想させる赤色の背景を用いていた」だの「HYBEのパン・シヒョク会長は日本カルチャーのオタクだ」といった、根拠のない誹謗まで溢れだした。

今年4月、アメリカのコーチェラ・フェスティバルに出演したルセラフィム。ご覧のようにステージの背景が赤いが、韓国のネット民から「それは日の丸を連想させるため」という難癖をつけられている(写真:AP/アフロ)

 またHYBEが、傘下のレーベルで、人気アイドルグループ「NewJeans」を抱える「ADOR(アドア)」のミン・ヒジン代表と深刻な内紛を繰り広げていることも、ルセラフィムに非難が集中している原因となっている。

 HYBEのパン・ヒショク会長とADORのミン・ヒジン代表は、ADORの経営権をめぐり、お互いにメディアを通じて激しく批判し合っているが、ミン代表は「HYBEが、パン・シヒョク会長が直々にプロデュースしたルセラフィムと、ミン代表がプロデュースしたNewJeansとを差別している」と強く主張し、これがK-POPファン層に大きくアピールされている。

 K-POPアイドルについての世論を主導するのは韓国の若い女性層だ。そして彼女たちは、革新系の共に民主党支持者が多い。それだけに、共に民主党とチョグク革新党が煽る反日感情にもわりと簡単に同調し、ネット上の根拠のない反日主張にも積極的に加担してしまう傾向が強い。

 LINEヤフー問題に対する野党政治家とメディアの姿勢が、感情に流されやすい韓国の若者たちをますます「反日」に駆り立てている。