その一方で彼女は、民族主義志向が強い韓国のネット民たちからの批判を常に受けてきた。ルセラフィムでデビューする前は、「AKB48時代、軍国主義を称賛する舞台に上がった」「君が代を歌った」「自衛隊の広報をした」などとバッシングに晒されていた。

ルセラフィムのサクラこと宮脇咲良(写真:Mydaily/アフロ)

 ルセラフィムとしてデビューした後も、韓国人が「光復節」と呼ぶ8月15日を「終戦記念日」と呼んだとして叱咤され、「西郷隆盛を尊敬する」と発言したことで「右翼」と非難された。ちなみに韓国では、西郷隆盛は「征韓論」を主張した右翼主義者として認知されている。

まるで陰謀論

 さらに最近では、宮脇だけでなく、ルセラフィムのグループ全体が「右翼ガールズグループ」との批判を受けるようになっている。ネット民たちがその根拠としているのは、昨年5月に発売されたルセラフィムのファーストフルアルバム「Unforgiven」の中の一曲「Burn the Bridge」のプロモーションビデオ(PV)が「右翼的な内容を盛り込んでいる」というものだ。

 いずれも荒唐無稽だが、彼らの主張をいくつか紹介しよう。

1、冒頭の白い床に赤いインクが広がるシーンは「日の丸」を象徴している
2、赤い夕焼けの背景は「日の丸」を象徴、夕焼けをバックに立っている木に青い液体が注入されているシーンは韓国(青色)の精気を日本に注入させることを象徴している
3、カズハの背中から伸びた白い翼が燃え上がり黒い翼に変わっているシーンは自衛隊戦闘機である三菱F-2のメタファーである
4、水面に浮かぶ宮脇の横顔は独島(顔が西島、胸が東島)を象徴しており、これは独島が日本の領土だという主張である――などだ。

 こうした主張は1年前に韓国のネット上で出まわったが、当時は「とんでもない陰謀論」としてむしろ批判を浴びていた。

 ところが、最近ネット空間で反日感情が高まったことで再びこの主張がクローズアップされ、急速に拡散しているのだ。YouTubeに上がっているルセラフィムのPVには、「売国アイドル」「導入部が日の丸なんて冗談じゃない」「これがK-POPかJ-POPかわからない」などの批判コメントが溢れている。