政府・日銀の覆面介入、「いつでもやる用意がある」

 では、現在の円安局面での介入は、どう展開しているのでしょうか。

 ゴールデンウィーク真っ最中の4月29日、円相場は一時1ドル160円台まで急落しました。ところが、その直後に154円台まで円高に振れるなど、市場は激しく変動。さらに5月2日未明にも157円台から4円以上値上がりして153円をつける急騰ぶりを見せました。

神田真人財務官(写真:共同通信社)

 市場では、政府・日銀が覆面介入を繰り返した結果であり、規模は計約8兆円との見方も出ました。一部メディアは「政府関係者が4月29日と5月2日の介入を認めた」と報じましたが、財務省の神田眞人財務官は「介入の有無にコメントするつもりはない」と述べるに留め、介入の有無を明らかにしていません。ただ、「いつでもやる用意がある。必要であればいつでも適切な行動を取る」とも語り、市場を牽制しました。

 ちなみに、為替介入の原資となる外貨建て資産の残高「外貨準備高」は、財務省によって毎月公表されています。5月9日に公表された4月末の外貨準備高は1兆2789億ドル(約199兆円)で、3月末比で116億ドル(約1兆8000億円)減っていました。

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