ライドシェア解禁議論が左右する地域の未来

 いずれにしても、「自家用車活用事業」における「ライドシェア一部解禁」や、いわゆる「ライドシェア新法」に伴う「ライドシェア全面解禁」を踏まえて、地域住民と日々直接対応する市町村が、地域公共交通のリ・デザインの観点で今後さらに真剣に地域住民への説明に取り組むことになるだろう。

 地域公共交通に直接関係する部署以外を含めた全職員が、「日本が今、ライドシェア全面解禁の議論を本格化させなければならないような大きな社会変革期に直面していること」を自分ごととして捉え、部署間の垣根を越えた情報共有を進めるべきだ。

 その上で、地域の特性に合わせて「ライドシェアありき」ではなく、地域の未来について市町村は地域住民や地域事業者と持続的な対話を進めるべきである。

 結果的に、規制改革推進会議におけるライドシェア全面解禁の議論は、地域社会の未来を考えるためのバロメーターになっていると言えそうだ。

桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。
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