自身の価値観に基づき取捨選択できるか
日本と世界の違いは、日常的に口にする食品にもある。本書の中では、小麦が例に挙げられていた。
僕が身体に取り入れることについて懸念しているのは、その外国産の小麦が作られる工程で使用される除草剤に含まれる「グリホサート」という成分だ。(中略)日本は2017年にグリホサートの残留農薬基準を厳しくするどころか、むしろ緩くした。
グリホサートは世界各国で使用禁止などの措置が相次いでいる。それに対し日本は逆行しているという。またグリホサートに限らず、海外では厳しく規制されていても日本では規制が緩いものが少なくない。マーガリンやショートニングに多く含まれるトランス脂肪酸もその1つだ。
たしかに規制成分を安全だとする機関なども存在する。何を信じるかは人それぞれだが、自身の価値観を持ったうえで情報を取捨選択し、判断する大切さが本書が訴えていることの一つだろう。
1人の母親の行動が自治体を動かすことも
実際に自身の価値観に従って知識を養い、子どもたちのために行動を起こした母親がいる。アメリカのゼン・ハニーカット氏は子どもたちのアレルギーや自閉症が食べ物のせいだと考え、食卓から遺伝子組み換え食品を減らしてオーガニックに切り替えた。同じような問題意識を持つ母親たちと活動を開始する。
スーパーや学校などにオーガニックの食材を取り扱ってもらえるよう要求したり、パレードに参加したり。また地方議員にコンタクトをとって要求を伝えすることもした。その結果、遺伝子組み換え油が給食から姿を消す自治体が現れ、南カリフォルニアでは全ての食材をオーガニックで調達できるようになったそうだ。