巨大ITは民主主義も脅かすか

 巨大IT企業への規制では、日米欧が足並みを揃えている点も見逃せません。最近では昨年11月、主要国(G7)の競争政策当局者が東京に集まり、G7として初めて共同声明を発しています。

 声明では、巨大化するデジタル市場が「急激な独占化や寡占化、支配的地位を生み出す傾向がある」「既存のテック企業が排他的取引、自己優遇などの反競争的行為によって競争者を害する恐れがある」などの姿勢を鮮明に打ち出しました。

 そのうえでG7各国は連携し、法律や事前規制による対応策を整えていくことで一致したのです。日本の「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案」も国際社会のそうした意向に沿ったものと言えます。

 各国の規制は現在、IT企業による市場の独占を懸念したものになっていますが、さらなる懸念も持ち上がっています。それは、巨大IT企業がさらに強大になれば政府ですらコントロールできなくなるのではないか、というものです。

 人々の消費や行動に関するデータを集めて利用するIT企業はやがて、人々を思惑通りに自在に動かす存在になるかもしれない。そうなれば、IT企業は民主主義の理念に反したり、国家を超越したりするかもしれない――というわけです。