参院予算委員会で質問に答える岸田文雄首相(4月24日、写真:つのだよしお/アフロ)

 自民党の裏金問題(パーティ券売上金のキックバック不記載)を機に「政治改革」が叫ばれている。

 政治改革の基本は「国家」を論ずる国会になることである。ここで国家とは何かとなろうが、教科書通りに主権・領土・国民としておこう。

 すなわち主権は維持されているか、領土の保全は万全か、国民は等しく幸福なのか。国民を議論する中では少子高齢化や人口問題なども必然的に出てこよう。

 残念ながら、この3項目について真剣な議論が展開されているとは思えない。

 また国政選挙をはじめとする選挙では、選挙権を有する国民の相当数(3分の1ずつの賛成・反対・棄権と見ると約66%以上)が参加することで、国民・地域住民の声を政治に反映させることができる。

 今日の低投票率では真の声を反映しているとは言えないのではないだろうか。少子化のような日本の存続にも関わる重大事態が既に生起している。国民は無関心でも、政治が無関心でいいはずはない。

 内からの崩壊だけではない。日本を取り巻く国際情勢は緊迫しているが、国会の場で日本の安全に関わる侃侃諤諤の議論が行われていない。

 従って、国民の関心も国会議員の不祥事やセクハラ問題など、興味本位のことばかりに向いている。

 経済一流・政治は三流と語られたこともあったが、GDP(国内総生産)はかつての2位から4位に落ち、5位に落ちるのも近いとされる。

 政治改革の名で政治資金の規制のあり方だけが議論されているが、本末転倒の気がしてならない。本当の政治改革とはいかなるものか考察する。