ファイナンシャルプランナーのアドバイスは…

 FPの提案書には、「旅行の回数を半分に減らしましょう」「普通預金に置いているお金で、新NISA(少額投資非課税制度)を使ってインデックスファンドに積立投資をしましょう」といったアドバイスが箇条書きにされていた。しかし、彼女の心には全く響いていないようだ。

「普通預金に何百万円も寝かせておくのはもったいないって言われたけれど、大事な旅行資金だからムリ!」。そもそも、彼女の生き方を修正すること自体が「ムリ!」なのだ。

 別のアラ還女子には、「今日支払われるはずのバイト代が振り込まれていない。バイト先に問い合わせても『経理の担当者が不在なので分からない』と言われた。これって下請法違反じゃないですか」と泣きつかれたことがある。

 彼女もまた、独特のマネー感覚の持ち主だ。

なぜかサッカーJ1のホーム都市に詳しい理由

 自営業のご主人と二人暮らしで、複数のアルバイトを掛け持ちする。家計管理はご主人に任せ、「働くのは自分へのご褒美に使うため」と豪語。エステのコースに通い、お気に入りのブランドの服をシーズンごとに買い替えている。

 サッカーJリーグの某チームの熱心なサポーターでもあり、毎週のようにスタジアムに足を運ぶ。遠征先ではグルメや観光を楽しむのもお約束で、J1チームのホームの都市にはめっぽう詳しい。

 特筆すべきは、消費性向の極めて高いその生活が、綱渡りのようなやり繰りの上に成り立っていることだ。個々のバイトの報酬や振り込み予定日を全て頭に入れていて、それに合わせてカードで買い物をしたり、遠征先のホテルや食事のランクを調整したりしているという。

 そんな彼女から前述の電話がかかってきたのは、ある金曜日の夕方のことだった。