日本はエジプトに対して2016年までで総額1524億8600万円の無償資金協力(要はお金をあげること)を実施しており、カイロ大学はこれまで、大学付属の小児病院の建設・拡充や看護学部の施設改修資金として、総額で131億4900万円を受け取っている(1980年20億円、81年20億円、86年1億3400万円、87年17億8800万円、88年9億8100万円、90年1億1900万円、91年5億7400万円、92年14億8600万円、93年12億300万円、95年7億600万円、96年5億9800万円、2015年15億6000万円)。
エジプトの1人当たりのGDPは日本の約15分の1弱なので、大雑把に言ってこの数字は、カイロ大学にとって2000億円程度の価値があるとも考えられる。
有償資金協力(返済が必要な円借款)でカイロ大学の関係のものはないが、日本は2016年までに総額で7613億7300万円を供与している。
(参考:在エジプト日本大使館のデータ)
https://www.eg.emb-japan.go.jp/j/birateral/oda/data/mushou_shikin.htm
https://www.eg.emb-japan.go.jp/j/birateral/oda/data/yushou_shikin.htm
カイロ大学文学部日本語学科長のアーデル・アミン・サーレハ氏は、ジャーナリスト・山田敏弘氏の取材に対し「(小池氏は)1年時にアラビア語を落としているようだが補習でクリアしている。カイロ大学は今でも4人に1人は留年するが、彼女は4年間で卒業している」と回答している。
同じく石井妙子氏の質問に対しても「確かに小池氏は1976年に卒業している。1972年、1年生の時にアラビア語を落としているが、4年生のときに同科目をパスしている」と回答したという。
この回答は、小池氏が1973年に2年生に編入したという多くの日本人の証言や、小池氏自身の『振り袖、ピラミッドを登る』の「1年目は落第した(その結果、早くても1977年にならないと卒業できない)」という記述と真っ向から対立する。学科長の職にある教授がこういうことを言うカイロ大学は信用に値するだろうか?
エジプト政府の思惑
エジプトは1953年に王政から共和制に移行して以来、2012年6月から2014年6月までの2年間を除いて軍が支配してきた国で、それは現在も変わらない。日本の援助関係者は、「軍の工営隊が国の建設工事を大統領のトップダウンで請け負っている。本来入札でやるべき工事も随意契約で軍に流れる」と話し、日本の新聞記者は「儲かるビジネスはみんな軍の会社がやる」と話す。
街には軍出身のシーシー大統領(元国軍総司令官、国防大臣)の大きな写真がいたるところで見られる。ある意味で北朝鮮のような独裁国家であり、軍が「小池氏をカイロ大学の卒業生にしておきたい」と思えば、誰も逆らえない。小池氏のほうでもシーシー大統領が就任後、複数回会いに行っている。