韓国サムスン電子が米テキサス州オースティン近郊の半導体拠点で、新工場などの建設費投資額を2倍超に増やす計画だと米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などが報じた。総投資額は約440億ドル(約6兆6700億円)になる見通しだ。実現すれば、半導体国内サプライチェーン(供給網)強化を目指すバイデン米政権にとって大きな進展となる。
新半導体工場、先端パッケージング施設、研究開発拠点
関係者によると、新たな投資は主にテキサス州テイラーの施設に向けられる。同社は21年11月、170億ドル(約2兆5800億円)規模の米半導体工場の建設地として、テキサス州テイラーを選んだと発表。同工場の建設は22年に着工しており、年内の量産開始を目指している。追加で投じる資金は、新たな半導体工場のほか、先端パッケージングや研究開発の施設に充てられる。
サムスン電子は96年にオースティンで半導体事業を開始した。工場では当初、メモリー半導体の生産を行っていたが、その後、ファウンドリー(受託生産)事業に転換された。テイラーの半導体工場には今後、顧客向けの先端ロジック半導体を製造するための設備が導入されることになる。
サムスン電子は、売り上げベースで世界最大のメモリーメーカーでもある。最近は、AI(人工知能)の普及に伴って需要が急増するHBM(広帯域メモリー)分野で、韓国SKハイニックスや米マイクロン・テクノロジーと首位争いを繰り広げている。SKハイニックスは24年4月4日、インディアナ州ウェストラファイエットに39億ドル(約5900億円)をかけて先端パッケージング施設を建設すると発表した。
ロジック半導体の製造でインテル・TSMCと並ぶ
WSJによると、サムスン電子は、米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)と並ぶ先端ロジック半導体の生産能力を持つ企業である。これらの半導体はAIや国家安全保障に不可欠なものであり、バイデン政権が進める国産半導体製造強化策の中核を担っている。