この四半世紀、ほぼすべての教育行政は失敗
なぜ、仕事がうまくゆかないのか。そう問われると、彼らは反射的に「管理が足りないからだ」と考える。「叱り方が足りないからだ」「屈辱感の与え方が足りないからだ」と考える。そして、さらに管理を強化し、組織を上意下達的なものにし、査定を厳格にし、成果を出せない者への処罰を過酷なものにする。
もちろん、そんなことをすればするほど組織のパフォーマンスはさらに低下するだけだが、その時も対策としては「さらに管理を強化する」ことしか思いつかない。
軍隊には「督戦隊」というものがある。前線で戦況が不利になった時に逃げ出してくる兵士たちに銃を向けて「前線に戻って戦い続けろ。さもないと撃ち殺す」と脅すのが仕事だ。軍隊の指揮系統を保つためには必要なものかもしれないが、もし「半分以上が督戦隊で、前線で戦っているのは半分以下」という軍隊があったとしたら「管理は行き届いているが、すごく弱い軍隊」だということは誰にでもわかるだろう。
今の日本の「ダメな組織」は、この「督戦隊が多すぎて、戦う兵士が手薄になった軍隊」によく似ている。学校現場もそうである。
教育行政が発令した政策はこの四半世紀ほぼすべてが失敗した。だが、それを文科省も自治体の首長も教育委員会も自分たちのミスだとは認めなかった。すべて「現場のせいだ」ということになった。
指示した政策は正しかったが、現場の教員たちが無能であったり、反抗的であったりして、政策の実現を阻んだので、成果が上がらなかった。そういうエクスキューズにしがみついた。