私はもう定期的に教壇に立つということはなくなったのだが、今でもいくつかの大学に理事や客員教授としてかかわっているので、大学で「いま何が起きているのか」はある程度わかっている。そして大学に関して言えば、楽観的になれる材料はほとんどない。 大学教育は制度としてはどんどん劣化しているし、研究教育のアウトカムはどんどん低下している。それも加速度的に。 その原因は「教育研究を中枢的に統御し、管理しようとする欲望」がもたらしたものである。「諸悪の根源」というような激しい言葉をあまり使いたくないが、「統御し、管理しようとする欲望」が今の学校教育の荒廃の主因であることは間違いない。 だが、不思議な話ではあるが